反出生主義の基本情報

反出生主義とは何か

反出生主義とは「子供を作ることは悪である」という思想のことです。

実生活ではあまり耳にしたことがないかもしれませんが、ここ数年ネット上では見かける頻度が高くなってきた言葉です。

この記事では反出生主義の基本的な内容をまとめてみたいと思います。

いつ発生した思想なのか

この思想はかなり昔から存在しました。古くはギリシャ神話、旧約聖書にも書かれていたそうです。

近代ではドイツの哲学者アルトゥル・ショーペンハウアーが有名です。また最近では、南アフリカの大学教授デイヴィッド・ベネターによる著書「生まれてこない方が良かった―存在してしまうことの害悪」なども注目を集めています。国内では、匿名掲示板を中心に熱い議論が交わされているようです。

つまり、いつの世にもある思想であると言えます。

反出生主義の2つのタイプ

反出生主義には大きく分けて2つのタイプがあるようです。

1.人生そのものが悪だから派

生きていると「嫌なこと」がたくさんあります。

・病気で苦しむ
・いじめ、虐待にあう
・家族に恵まれない
・パワハラ、セクハラ
・容姿が気に入らない
・勉強ができない
・貧乏
・仕事がつらい
・天災に遭う
・事故に遭う

などなど 枚挙に暇がありません。

当たり前ですが、我々人間は、誰一人として自分自身がこの世に生まれたいと願って生まれてきたのではありません。いつだって親が子供を持ちたいと望んだから生まれてきたのです。

親は子供を持つか否かを選ぶことができますが、子供はそれを選べません。否応無しにこの世に産み落とされて、生きる事を強制されることになるのです。

それはアンフェアであり、無責任で非情な行いなので、子供を産むべきではないというのがこのタイプの主張です。

人は誕生からその生涯を閉じるまで、常に数え切れないリスクとともに「嫌なこと」と対峙していかなくてはいけないのです。

それがとても苦痛なので、こんな思いをするのは自分だけで良い、我が子にはこんな思いをさせたくないというある種の「親心」からこの思想に至ったのだと考えられます。

生まれない、ということはあらゆる「嫌なこと」から逃れる唯一にして最強の方法と考えられているようです。

2.地球環境改善派

人類の誕生以来、人口は右肩上がりにどんどん増加しています。そうなると、様々な問題が起こることが懸念されています。

・食糧不足やエネルギー不足に陥る
・エネルギーを使うことで自然環境が悪化(温暖化など)する
・資源をめぐって争いが起こる

これらを解決するにはこれ以上人間を増やさないのが良策であるとするのがこのタイプの主張です。

こちらの主張は先に述べた1とは根本が異なります。1は人生そのものが悪であるという前提に対し、2の主張はそうは言っておらず科学的あるいは社会的な見地からの主張となっています。同じ「反出生主義」ですが、個人的には全くの別物として議論すべきではないかと思います。

どんな人が支持しているのか

一般の人が考える「普通」の人生をなんの疑問もなく送っている人からすると根底を覆されるような、結構ショッキングな思想なのではないでしょうか?

一体どうしたらこんな思想を支持できるのか?どんな人がこんなことを言っているわけ?と思われる方もいると思います。

ソースはないのであくまでも私見ですが、やはり今生きていることがつらい人、つまらない人、厭世家の人、病気で苦しんでいる人など現状人生が上手くいっていない人たちが支持しているのではないかと思います。

逆を考えればわかりますが、大金持ちで容姿端麗、頭脳明晰で人望も厚いような超ラッキーな人、逆境を跳ね返すのが生きがいの人、いろいろ不満はありつつもなんだかんだ人生楽しいと思っている人はこんな考えに至りそうもありません。むしろ仲間(子供)を増やしてもっと楽しみたいと思っているような気がします。

ただ、こうした恵まれた環境で生きている人の中にも、思慮深い人、心配性な人、完璧主義な人などは考えに考え抜いた末反出生主義となる可能性もあると思います。

結論としては、環境による要因が大きいけれど、最後はその人次第という至極当たり前のものになるかと思います。

反出生主義は増えてきている?

昔からどの国、どの時代においてもあった思想だと書きましたが、ここ数年で反出生主義という言葉がグッとメジャーになり多くの人が議論しているので、反出生主義者が増えてきているように感じます。

これにはネットの普及によるものが大きいように思います。

ネットのなかった昔の社会では、自分は反出生主義者であるとカミングアウトしようものなら、変わり者のレッテルを貼られ、社会的にまずい立場になる可能性が高かったと思います。だから誰にも言えなかった人も多かったことでしょう。(しかし、可視化されなかっただけで、それなりの数の支持者がいたのではないかと思いますが。)

一方ネットの普及した現代はというと、匿名性が高く、リアルでは言いにくいことを言える場所ができたために気軽に議論することが可能になりました。ネットではこういったマイノリティの意見や奇抜な意見ほど議論が盛り上がる傾向があります。その結果、多くの人の目に触れる機会が増え反出生主義者が増加したのではないかと思います。

また、ネットの普及で人々がどんな暮らしをしているのかも可視化されるようになりました。

裕福な家庭の子がどんな暮らしをしているか、容姿が良い人がどんな扱いをされているか、ホワイト企業で働いている人がどんな生活をしているか、全部わかってしまったのです。

そうなると、自分の実力とか置かれている立場をまざまざと知ることになります。知るということは時に残酷なのです。人と比べて自分ときたら…と落ち込んだり、焦ったり、嫉妬したりして人生を悲観しやすい状態になりやすいです。こういった情報量の急激な変化も増加の遠因としてあるような気がしています。

まとめ

世の中にはこういう考えを持った人もいるんだなということがわかっていただけたのではないでしょうか。